江戸幕府は、漁師たちに無料で魚介を納めさせた。その代わり日本橋川に魚市場を開いて、残った魚介を江戸市民に売ることを許した。これが、魚河岸の始まりだ。
いきなり余談だが、のちに魚介の価値が上がっていくと、いまでいう仲卸たちは、無料での納入を渋るようになった。幕府は代金を支払うことになるのだが、「御用買い」といい、市価の10分の1程度で買いたたいていたらしい。そこで、仲卸たちは上質の魚介を店の奥に隠す――といったこともあったようだ。
話を戻そう。江戸時代、日本橋の魚河岸は、様々な換算方法があるが、かけそば1杯の値段で考えると、1千両は1億~1億5千万円程度だろうか。2017年、築地市場では水産物だけで1日に17億円余が動いた。いまや「日に千両」どころか、「日に万両の落ちどころ」。その水産物の取引量は「世界最大級」に成長した。
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